J.の備忘録

なんか好きな作品とか絵とか漫画制作の所感を書きます。副音声みたいですね。

「楠絵マキナ」絵、制作備忘録

久し振りに記事を書きます。
今年は就活を通して、改めてプロイラストレーターになれないかを短い時間ながら本気で挑戦しようと考えているため、何を考えてどう描いたかを端的にではありますが、ぼちぼちと思います。

 

  • 序文
    • 絵を描くことへの想い
  • 本論
    • 「楠絵マキナ」というキャラクター
    • モチーフ、テーマの決め方
    • 制作手順
  • 結論
    • 1年をどう使うか?

 

序文

 実際にSkebを初めて、応援してくれる人々から依頼を受けて絵を描くことで様々な意識が変わりました。そして、自分が如何に甘えていたのかを知ることとなりました。

 絵を描くことへの想い

 大学生活を通して絵を描いてきた訳ですが、修士後半まで何となく「会社員として働くことになるのだろう。そして、隙間時間などに絵を描いていければ人生御の字である」とは考えていました。しかしながら、実際に就活が始まってみると、周りとの差や仕事への熱意。そういったもので自分が如何に劣っているのかを散々と自覚させられる日々を送っていました。

 その中で、自分が最も自信をもって取り組んできたものは何かと考えた際に「絵を描くこと」は真っ先に上がる事であります。絵の上達を通して、自分を見つめ直し、人と交流する。この想いの根本を考えると、やはり自らの手で「人を楽しませたい」「喜ばせたい」と言うモノが核にあるのだと気づきました。

 しかしながら、「真剣に」取り組んできたといわれると、実はそうではありません。やはり学生生活も大切にしなければ、そんな思いがどうしてもぬぐえず、「狂えるほど」のめり込んではいなかった、一歩引いた形で過ごしていたと言うのが現状です。

 これだと流石に諦めきれない、このままじゃ終われない。なので今年は様々なモチーフでイラスト制作に励み、プロになれないか考えてみようと思い立ったわけです。

 

本論

 今回、氷雨ユータ先生から依頼を受けた「エクス・マキナも救われたい」のキャラクター、「楠絵マキナ」はそのような中でまさに天祐でした。キャラクターデザインから構図まで「好きにして良い」との事でしたので、大変挑戦的でかつ、やりがいのある絵でした。

楠絵マキナというキャラクター

 楠絵マキナは「キカイ」、つまり存在として形而上、またはそれに準ずる上位の存在の顕現であり、かついい意味で人倫に囚われず、かつとびぬけて明るく振る舞い、また主人公への執着、他の存在への無関心。そういった激しい二面性が彼女の魅力だと感じていました。彼女は「月の瞳を持つ」、「金色の短髪」、「胸が大きい」、「人並外れた美しさ」がある事も重要な形態要素であります。

モチーフ、テーマの決め方

 まず、どう「上位存在感」を出そうかと考えた際に、アオリ構図にすることは決めていました。かつ、「いつか貴方に満月を」という題にすることは初めから決まっていました。それは小説の内容にも合っていましたし、私が見たいものでもあったからです。

 やはりモチーフが決まった後はテーマです。顔の他に「月」やなにかを使いたかったのですが、ここがかなり難航しましたし、自由度が高い分どの服装が最も可愛くキャラクターを見せることが出来るのか、この部分は私の腕の見せ所でありましたので最も時間がかかりました。

 実際にやった事は、Pinterestなどで気に入った服装をpick upする。WEARで服装をチェックする。Bloodborneの設定資料集を見る、ポーズと他にあう小物、演出に使える背景などの考案の為に写真を取る。これらはしていました。後はどう組み合わせるか大変難しい問題でしたので、今後言語化します。

制作手順

 制作手順は基本「plot→ラフ→線画→塗り→仕上げ」の順です。しかしながらもう少し良い改善が出来るのではとは考えています。こちらも今後言語化しながら制作を続けていこうと考えています。特に、塗り、ラフの部分が本当に苦手であるため、教本を一冊1ヶ月以内に抑えて、絵柄を安定させつつ成長を測りたいと考えています。

 塗りは純粋に様々な技法を試したいという方針から、様々な書き方をしてきたのですが、再現性が無い点で大変反省すべきだと考えています。改善の為に好きな塗りの絵師の塗り再現、カラーパレットの作成、自分なりの色塗り手順の策定などを行います。

 ラフに関しては、自分のポーズの引き出しが少ない事が原因だと考えています。やはりこれに関しては回数をこなすしかないと考えていますので、クロッキー10体と1体スケッチを隙間時間などで継続して行うことを目標にします。

結論

一年をどう使うか

 上記のように、目を逸らしていたのですが対処すれば明らかに効果のあるようなモノは沢山あります。これらを改善することで自分はまだ絵が上手くなることが出来ると前向きに考え、今後精進していきたいと考えています。

 

最後に、いつも応援して頂いているKota様、今回依頼していただいた氷雨様、またいつもTwitterで交流している方々、今まで大変ありがとうございました。今後は計量的に絵の上達を測れないか試行錯誤していくので、これからもよろしくお願いします!

アマガミSS

 アマガミSSについてのお話。(多くのネタバレが含まれています。)

 

 「アマガミSS」※(2010,AIC)、及び後継作品「アマガミSS+ plus」(2012,AIC)は、恋愛シミュレーションアマガミ」(2009,エンターブレイン)を原作とした全26話のTVアニメの事。

 今年はアマガミSSが放送から10周年を迎え、8月にニコニコ動画で一挙放送が行われたり、去年はアマガミを中心として、キャラクターデザインを担当したイラストレーターの「高山箕犀」さんの作品を主題とした展示会「創設祭」(2019,Phrase Gallary)が秋葉原や各主要都市で行われたりと、未だに根強い人気を誇る作品であることを見せつけてくれた。

※(制作年,制作元)

 今回はアニメ「アマガミSS」についてのみ記述するが、いずれの機会に原作についての記事も書きたい。 

 アマガミ自体は、特筆して記憶に残る舞台設定は無いし、背景知識を持った人間がいるわけではない。(麗しい人々しかいない、というのはあるが。)
 どこぞの巨大学園に転入したり、主人公が前科者を更生させる人間であったり旅人であったり濃密な修羅場ドロドロの展開があるわけでもない。しかしそれらに負けず劣らずに心を惹きつける何かが存在するのは間違いないのだ。
 では、これから一体何が私をここまでアマガミに拘わらせるのか、またアマガミSSの見どころについて書き込んでいく。

 
さて。

 主人公は中学3年の冬、クリスマスのその日に手痛い失恋を経験している。

 アマガミSSではすべてこの導入から始まる。それから彼は恋愛に消極的になってしまい、特に高校1年のクリスマスは彼が通う輝日東高校の名物である「創設祭」にも顔を出せず、親友の梅原正吉と侘しい聖夜を過ごした。
 ……しかし舞台となる高校2年生の冬、憧れの森島はるか先輩を見て、彼女がもう卒業してしまう事などを考えて一念発起、冬までに彼女を作ろうと頑張ります。
 トラウマを乗り越え、創設祭が行われるクリスマスまでに彼女を作り、幸せな結末を掴むことは出来るのだろうか……。

 といった出来事から6名の各ヒロインを攻略していこうという話で、アニメでは一人4話構成のオムニバス形式で話が進んでいきます。


 個人的には彼女を作る動機が正直「不純だなぁ~」と思ってしまうのだがそれはこっちが異常なだけであり、人間はすべからく自己中心的でエゴの塊なので別に何もおかしくないのだ。しかも一ヶ月という期限付きで作るのってどうなんだとも思う。でも良いんだ(真顔)、だって現実の恋愛だってそんなもんだし。知らんけど。

 人間が何かを望んで、それを叶えるために行動することは基本尊い事なので、「彼女が欲しい」と望んで行動した結果、それが成就するのは素晴らしい事です。
 しかもこの主人公、大変誠実なのでそこも好感度が高い。

 

 話を戻して、各ヒロインについて説明していきます。

  • 森島はるか編(1~4話)
     憧れの森島はるか先輩と何とか知り合おうと考える主人公、橘純一は、その矢先に何故かその本人から振られてしまう。決意を固めた直後に起きただけに大きく落ち込む主人公は、その後先日のことは誤解から生まれた事故だと、森島先輩と彼女を連れてきた塚原響から説明を受ける。このことをきっかけとして純一と森島はるかは知り合い、仲を進展させていく……。

     見どころ:
     この話はアニメアマガミの導入として極めて優秀な出来であったと思う。
     アマガミファンでは、主人公は”変態紳士”と知られており、その斜め上の発想と行動力から生まれるモノはマジで何をどう生きていればその考えを思いつくのか本当に分からない事も多い。
     この森島はるか編でもその才能を遺憾なく発揮しており初めてアマガミを観た人間を振るいにかけたであろうことは想像に難くないだろう。膝裏にキスって何だよ……すげぇよマジで。
     ヒロイン森島はるかも”男殺しの天然女王”との説明に負けず劣らず変人なので展開のぶっ飛び方はアマガミSSの中でも随一。これで琴線に触れた人間は間違いなくこの作品にあっていると言えるだろう。
     始めは可愛い後輩としか思っていなかった彼が、自分に2回も告白してきたことで彼を異性として意識し始めた彼女は、慣れない気持ちに翻弄される。年上の女の子が甘えるのはダメかな等と不安を見せるシーンは大変良かった。
     他にも、森島はるかという人物が見せる、飛びぬけて明るく純粋であり年上でありながら幼くも思えるところや、物語が進むにつれて見せるやきもちや寂しがりやな、年相応の振る舞いを見せる面も、より関係性の進展を感じられる見どころである。
     特に4話の告白シーンは素晴らしかった!

  • 棚町薫編(5~8話)
     橘純一の中学からの悪友、棚町薫は友達である田中恵子の恋愛相談に乗る。その時、一番近しい異性である純一に男性側の意見を募るため、彼を放課後呼び出した。彼はそれを薫からの告白だと勘違いし、笑い話として棚町と話す。
     その後、棚町は純一と常に一緒にいる理由を考え、一つの結論――純一に恋をしている可能性――に辿り着き、彼との関係性を変えるため動き出す。

     見どころ:
     棚町薫という人物は情や筋を通すことを好み、正義、責任感が強い反面、あまり素行の良い生徒とは言い難いしすぐ手も出てしまう。
     性格も勝気というか姉御肌でさっぱりとしており、ノリも良いしなんかホント男友達に近くてそういうところが良いんだよね……。一話の冒頭とか田中さんの恋愛についてのイベントとか姉御肌感が出ていて良い。ファンが多いのも頷ける。
     そうかと思うと純一への想いを自覚した際に動揺したり、悪ふざけで純一をノックダウンしてしまった際にしっかり反省し、縮こまっている姿などは女性らしいというか、可愛らしい姿もあっていい。
     物語が進むと棚町家は母子家庭で、母と二人で生きていく為に自身はファミレスで働き、収入の半分は家計に入れているというしっかり者としての一面や、さらに大好きな父親との思い出を大切にするが為に、母親が再婚することを認められないという心境を純一に打ち明けるといった、いつもの”強い”薫とは一転して純一に弱みを見せた所など、徐々に長年培ってきた信頼を元に悪友から恋人へと変わっていく関係性のグラデーションが大変良い。
     他にも薫のヘソにキスを強行するシーンなどは橘純一が大物であることを示しているのもそうだが、それを許す棚町薫も大概というか何というか。微笑ましくなってしまう個人的に好きなシーンです。
     告白のシーンの「悪いところは100個言える、でもね、いい所は101個言える」は名言としても名高く、まさにこのセリフは悪友として、良い所も悪い所も知り尽くした薫だからこそ言えるだろう。

  • 中多紗江編(9~12話)
     夏休み前に転校してきた少女、中多紗江は引っ込み思案で気が弱い。ある日、彼女は純一の財布を拾ったことで純一と出会う。彼はそのお礼にと彼女の引っ込み思案を治すことに協力し、人前で堂々と振る舞う事ができるように二人で秘密特訓を始めた。紗江ちゃんは弱点を克服し、喫茶店のバイトを始めることは出来るのか?更に隠した「もう一つの目標」も達成できるのだろうか?

     見どころ:
     中多紗江編は他のヒロインと違って、中田譲治さんのナレーションが付いている。というのも彼女が気が弱く上手く喋ることができないという事もあり、演技では描写しきれない内面を読み上げているそうだ。ただ、原作で言うとシリアイ→ナカヨシルートの話をアニメでは採用しているためこのような形式になったのかなとは思う。アコガレ→スキだと中多さんの強さが純一君を救うのでそれは是非原作を遊んで内容を確認して欲しい。
     ともあれ、男性が苦手な彼女は、親友の橘美也のお兄さんである純一にはそのような経緯もあり比較的まともに接することが出来た。そんな彼女を純一は支え、また「教官」として彼女を導いていく。その教官プレイを彼の善意と本心から思いつくところがまた主人公の変態紳士たる所以か…。
     彼の真摯な思いは中多の感じるところもあり、家族以外で唯一まともに接することが出来る異性と言うこともあってか、彼女は純一に惹かれていく。中盤から終盤にかけて中多さんが純一に自分の気持ちに気づいてもらおうと奮闘する可愛らしくいじらしい姿と、純一が抱えているトラウマを克服しようとする姿は共に見どころと言えよう。
     更に最後、創設祭のベストカップルコンテストでの出演シーンは既にそれ付き合ってるって言えるんじゃないのかと…。恋愛事情は複雑怪奇。
     実は特撮ヒーローオタクであり、好きなヒーローの話になると早口になってしまうところ、好きな相手の為にする事は周りの目を気にせず大胆な行動をしてしまうところなど、中多紗江編もヒロインの魅力を存分に引き出した作品である。


    ここからアニメOPが「i love」から「君のままで」に代わる
    「君は君のままで 僕は僕のままで すべて分かり合えたら」なんだよなぁ……(しみじみ)


  • 七咲逢編(13~16話)
     ある日純一と梅原は、帰り際に立ち寄った公園で1年の女子に痴漢と間違えられてしまう。結果としてそれは彼女なりの冗談だったのだが、それが彼女、水泳部期待の新人である七咲逢との出会いだった。ご存じの通り純一は高校2年生にしては子供っぽく、しかし時折見せる頼もしい一面、そのギャップに七咲は興味をもったのか、二人でいる時間が増えて…。

     見どころ:
     アマガミの中でも人気なヒロインである七咲逢編です。純一と出会った直後は少し刺のある物言いも、1話終盤には明らかに優しい声色に変化したと言うのが印象深かった。
     弟の七咲郁夫の良き姉、才色兼備の塚原響からも信頼が厚い水泳部期待の新人である七咲は、ひょんな事から橘純一と深い仲に。子供っぽい純一に最近自分のいう事を聞いてくれない弟の郁夫君の面影を見出し、彼女は彼にそのことを相談する……そんなシーンを切っ掛けに二人の仲は進展します。
     大判焼きを一緒に食べたり、郁夫君にプレゼントする予定だった玩具を使って二人で遊んだり、遊園地で七咲が味噌ラーメン(!?)になったり……。二人で過ごす時間が増え七咲が純一に惹かれていく反面、彼女は水泳のタイムを下げてしまう。そして遂に、塚原先輩に大会の代表選手から外すと通告されてしまった。
     そして、アマガミSSで個人的に1,2を争うレベルで好きな、七咲を追いかけてプールに飛び込む場面。あれは橘純一が主人公たる最も重要な要素だと断言できます。平時において、自らを顧みずただひたすらに相手を想ってする行いは、人間の取ることが出来る行動の中で最上位に尊いものなので。それを見せつけてくれたシーンだと思います。
     そして最後の告白シーン、七咲が思いを伝えるシーンは是非アニメで見てほしい。
     七咲は橘と遇わなければ、何も問題なく水泳部のエースとして輝かしい未来が待っていたというのもまたいいのだ。

  • 桜井梨穂子編(17~20話,SS plus 3~4話)
      純一と幼馴染である梨穂子は、純一への片思いの状態から抜け出せないでいた。抜けているところが多い彼女と、それをからかいながらフォローする彼。その心地いい距離感を大切にしていたのだ。そんなある日、梨穂子が所属する茶道部の先輩たちに、純一は創設祭の手伝いと茶道部への入部を持ちかけられる。純一は一旦入部を断るが、梨穂子を放っておけない気持ちも芽生え…。

     見どころ:
     桜井梨穂子編はアマガミSSの中でも異質である。……というのも梨穂子編はアマガミSSの中で唯一「付き合わない」終わり方をしたのだ。いわゆる原作のナカヨシルートを突き進んだ結果である。
     この結末には賛否両論があるが僕は好きです(真顔)。
     梨穂子と純一の関係性を丁寧に描いているって部分はすごく好きだし。唯一創設祭が終わった後の話を描いていることから、二人の人間関係の時間的深さを演出しているのだと思う。それほど彼等の関係性が深く、また変え難いという事だろう。
     見どころとしてはとにかく「梨穂子はかわいいなあ!!!」に尽きる。梨穂子は自分の体型をよく気にしており、ダイエットをしては失敗する…というのが純一との定番の会話。実際ダイエット中にシュークリームを食べてしまったりケーキ食べたりとお前いっつも何か食べてるな可愛い奴め!
     後、純一お前ホント鈍いな!!こんな良い子他にいねぇって!!!
     それはそうとして、創設祭を終えた後、梨穂子が純一にクリスマスプレゼントとして手袋を贈るところや、純一が初詣に行く前に梨穂子からプレゼントされた手袋をちゃんと持って行ったり、茶道部の先輩方が卒業してしまう前に新入部員を獲得しようと梨穂子が頑張る姿や、最後、純一が卒業する先輩方に茶道部の入部届を見せるところなどなど見るべき場面は多い。演出意図としては婚姻届の役割を果たしているらしい……なるほどそういう手もあるのか……。
     SS plusだと夏に突入した梨穂子と純一が「ちょっとした」出来事から急激に関係が進展するのだが……それは別の機会に書くことにする。ただ、これを合わせて桜井梨穂子編が完結すると思っている。

  • 絢辻詞編(21~24話)
     今年はクリスマスの辛い記憶から逃げないように、純一は創設祭実行委員に立候補した。同じクラスの絢辻詞は純一と共に実行委員の仕事をこなしつつ、クラス委員の仕事や先生の代わりに補習の監督をしたりと正に優等生として振る舞っていた。しかし偶然、純一は絢辻さんの手帳を拾ってしまい、彼女の隠された裏の顔を知ることとなった。

    見どころ:
     見どころしかない。
     「流石パッケージヒロイン格が違った」との言葉もある位に絢辻詞編は面白い。アマガミでは中多紗江が好きな私ですがアマガミと言う作品と言われれば絢辻詞と即答してしまう、そういうヒロインです。いつか個別記事書きたいですね。
     彼女は成績優秀、人当たりの良い優等生であり、今までの物語では創設祭実行委員長として純一とヒロインが結ばれることの多かった創設祭の準備を主導していた。先生たちからの信用も厚く、クラスメイト達からも一目置かれている。
     そのような彼女が、おそらく人生の中で唯一人前で”隙”を見せてしまったのがあの手帳を落とした時であり、計算外だったのはそれを「橘純一」という人物が拾ってしまった。
     そこが転換点であり、この後の絢辻詞の人生を大きく変えることになった。
     彼女が隠していた裏の顔は、自身の目的の為にはどんな努力を払うことも厭わないストイックかつ計算高い、更に腹黒さも持ち合わせた、まあ”いい性格”をしている。
     この時、特筆すべきことは表と裏で一人称が違うのだ。表は「私」、裏は「あたし」と各人格は独立であることをここで印象付けている。
     人は誰しも裏の顔を持つ。その中でも絢辻詞は本当に別の人格を持っているかのような振る舞いをする点は、今でこそ珍しいキャラクター性ではないが、その質が生々しく個人的に驚いたことをよく覚えている。物語上このようなキャラクターは暗く重い過去(いじめや親からの虐待など)が描かれがちだが、絢辻詞の場合そうでもない所も好き。いや重いけどね…。彼女はある意味何処にでも、それこそ現実に存在しうる可能性を持つ。――実在性を感じるのだ。
     そんな彼女が純一君と出会い、影響されていく。

     「あなたを私のモノにします」
     「だから、私をあげる。
      その代わり、今あなたがいる日常を私に頂戴!」

     第三話で、彼女は初めて純一を欲しいといった。
     ただ、セリフから分かる通り、彼女はどこまで行っても人とは分かり合えない、徹底的に損益の関係でしか交わることが出来ないと考えている。そうでなければ自分を対価にしようと思うだろうか?絢辻詞は恐らく誰よりも自分の価値を理解しているし、そのようにして今まで生きてきたのだから。
     この時点ではあくまで”契約”として二人は結ばれる。普通ならば愛や好意の証明、信頼の証等々で交わされるキスを、なるべく彼女自身の感情ではなく、信頼のおける人間同士の明確な権利義務関係に落とすことで安心を得ているのだ。それほど彼女にとって異性間の好意とは異常なもので、信頼のおけないモノだと考えているのだろう。
     この後、彼女は絢辻詞をそれ足らしめている生き方と、橘純一の価値観との間で衝突し、ひどく取り乱してしまうのだが、私はこの場面は確実に必要だったのだと感じる。もしこれが起きていなくても、そう遠くない未来に同じようなことで問題が起きてしまうのは確実だからだ。つまり、絢辻詞の価値観は、結局のところ何処まで行っても人と人は分かり合えないことが根本にあるからだ。
     それではあまりにも救われないではないか。

     実際の所、アニメ後半の展開はゲームと大幅に異なる。
     ゲームでは、大まかに全体を話すと、スキルートでは彼女が封印した寂しがりやで傷つきやすい「わたし」を救う話であり、ナカヨシルートは「私」と「あたし」を受け入れる話であった。そして両方とも創設祭実行委員を止めている。その為、主人公と向き合う時間が増えたので上記のような話になっていると考えられる。
     アニメ版では創設祭実行委員長を止めていない。このため橘との衝突後、彼女は「あたし」を自分から消し、「私」、つまり優等生としての自分だけで生きていくことを完璧にこなしていた。(実は、これはBAD ENDなのだ)
     彼女を気遣って放った言葉が彼女を深く傷つけた事への罪悪感、そしてすっかり変わってしまった彼女。純一は深く悩みます。
     そこで親友の梅原が喝を入れてくれます。
     「クリスマスはまだ終わっていない」と。
     その後、純一が「私」と「あたし」を持つ彼女が好きという、つまり今までの彼女そのものを受け入れたいと願うことで、やっと彼女は救われるのだ。まさにOPの「君のままで」はこの時の為にあったと言っていい!!!
     純一が彼女そのものを受け入れたことで彼女はやっと人と人は分かり合える可能性を受け入れる事が出来た。そしてやっと「わたし」が救われるのだ。
     
     そして”契約”は”約束”に変わり、物語は幕を閉じる。

  • 上崎裡沙編(25話)
     ある日純一は突然見知らぬ美少女の告白を受け、付き合うことになった。名前は上崎裡沙。しかし色々と心配をかけた梅原には交際を打ち明けたいという純一に彼女はNOを突き付ける。訝しんだ純一に、トラウマの原因ともなってる二年前、かつて一緒にクリスマスを過ごそうと思っていた牧原美香と偶然にも出会ってしまい、かつての真相を知る。

     見どころ:
     ヤバい(ヤバい)
     上崎裡沙が居なければアマガミは起きないのはそうなんだけどちょっと……。
     ただマージで可愛い。可愛いから全部許されている感がある。
     これはまあ語らないほうがいいので見てください。
     ヤンデレっていいよね!「パンドラの恋」や話を聞くと、ほんの些細なことが宝石のように大切な記憶となり彼への病的な執着心につながったのかなと思うと……いや実際可愛いんだよね……。やべぇよやべぇよ……。

 

 ここまで物語について書いたんですが、アマガミSSってデザインもホント秀逸でしてまあ言ってしまえば色合いや制服のデザインが地味なんですけど、それが他の作品より現実味があるというか独特の生々しさを出しているんですよね。

 さらに舞台が1990年代との事で携帯電話とかがない。だからコミュニケーションがすごく重要で、二年前のクリスマスだって仮にスマホがあったらデートをすっぽかされたりしなかっただろうし、田中さんは手紙を出す必要なんかないわけです。会えない時間に相手を想う気持ち、それがいじらしさを出しているんですよ。
 特にスマホ、携帯がある年代にとって携帯がない世界なんて、今現在と比べればフィクションそのものであり、またそれが無くても綺麗に話が進むので気にならない所も良い。

 フィクションとしての生々しさがこういうところでも生まれている。

 また、ヒロインには一貫して二面性が描かれており、分かりやすい例で言えば絢辻さんの「裏」と「表」のように、アマガミの物語は抽象的に言えば、物語を通して見えなかった彼女たちの別の顔が見えてくる、といった構造をとっていることがわかる。それらは全く無理がある展開を取っておらず、誰しもが少しの勇気を出せば起きえたかもしれないような事象の積み重ねで成立していることが分かる。また隠されていた面は、主人公がヒロインに助けられたり、逆にヒロインを助けたりといった関係性の中で明かされており、それは一つずつ信頼を重ねていった結果であると取ることが出来る。
 だからこそ見終わった後どことない寂寥感と人間に対しての賛歌というか、そういった気持ちにさせてくれる。そういった作品なのだと私は思う。

 

 まとめ

 長々と書いたが、結局アマガミと言う作品は我々の多くに寄り添ってくれる作品だ。
 それは主人公、各ヒロインに留まらず、美也や梅原、田中さん、塚原先輩、果ては黒沢や牧原まで、全ての登場人物とそれが織りなす物語が、創設祭へと向かう或る年の冬のほんの少しの間に輝日東で起きた小さな奇跡へと我々を誘う片道切符だと言っていい。
 誰しにもその奇跡は起きる可能性があり、しかし、勇気を出せずそれを揮うに能わなかった者、出会いがなく揮うことが出来なかった者、見事意中の相手を射止め、奇跡を手にした者……。この話は見た者のあるいは憧憬を、あるいは後悔を、あるいは思い出を、クリスマスイヴに降った雪で優しく包み込み、主人公とあるヒロインとの結末を心から祝福したくなるような作品なのだ。
 主人公橘純一は目の前にぶら下がった好機、その奇跡を掴むため周りを気にせずただひたすらに相手を求めた。相手を理解し、好かれようと努力した者を誰が後ろ指を指せようか?

 今までの人生が暗く、苦痛であり良い事なんて一つとしてないような人もあるかもしれない。しかし人生がどのようであれ、この作品が見せてくれたのは、人が人である上で最も尊い行いである、他人を慈しみ、受け入れて理解しようとするその姿勢がもしかしたら本当に現実でも存在するのでは、という可能性だったのだ。
 もしかしたらそのようなものは無いのかもしれない。だとしても、我々には既にアマガミがある。手に届かない遥か天上に彼ら彼女らの物語はきっと続いているはずなのだから。それをたつきにして無味乾燥な人生を精一杯生きていこう、そう思うのだ。

 



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絢辻さん




色々感想が書きてぇと言いつつ大分時間がたってしまった

目的

 観た読んだ作品についての感想をざっと書きこんだり見どころポイントを自分なりにまとめて創作の糧としたりしたい……したかった!

 よって今回はどんな作品を今まで読んで来たのかを書きこんで今後書きこむ作品群の大まかなアタリを付けたい。付けます。

 

方針

 作品群とは消化した作品の総称。これを各個別に内容を検討したりする。

内容の検討方法。
 基本はどの部分が見どころだったのかを悲劇‐喜劇グラフか何かでまとめる。
 また、作品の影響を与えたであろう親作品を調べ、これを再帰的に分析する。
  一作品について全体と各話毎に分析する。(各話毎は努力目標)

 製作者や制作会社などの人物についてもまとめる。
  例えば制作会社や監督は誰か、音響は何処か等々を纏める。
  特に第一原画や原画監督、演出辺りはチェックしたい。

 まーこんなもんでしょとりあえず。適宜追加しましょ。

 

方法

 作品を観る!方針に基づいて分析する!どこが良かったかまとめる!

 書く予定の作品
  アマガミ
  GOSICK
  電波女と青春男
  皇国の守護者
  涼宮ハルヒの憂鬱
  チェンソーマン
  僕の心のヤバい奴
  GUNSLINGERGIRL
 etc..

RWBY Volume 3 後半 話の転換期

目が覚めてしまったので暇だし書こうと思った次第。

 

 

 RWBY Volume 3を観終わった人の大半はこう思うに違いない、「Volume 1,2の頃の幸せを返して!」と……

 全体的に重要&主要人物死に過ぎじゃない?まぁそんなこと言うならOPのWhen it fallの歌詞がまず不穏すぎたでしょって言うのはある。

 Volume1では「世界を救う英雄になる時が来た!」、2では「世界が不穏に……もうかつての平和な日々には戻れない」ってのがメインだったのが3では「絶望が世界を覆い尽くす」ってさぁ……。

 

その言葉に残念ながら嘘は無かった。

 

 前半最後に現れた、生命維持装置に繋がれた少女Amber、何故こういう状況になっていたのかを説明したのが始まりで、Cinderがどう仲間を集め、秋の乙女の力を簒奪したのか、またホワイトファングやRoman・Torchwickの力を借りたのかが分かった。

 なんなら過去回想のホワイトファングにBlakeいてお前……って気分。その後ホワイトファングが再登場した時に列車云々の話してたしこの時間の間にBlakeのトレーラーの出来事があったんでしょうなぁ

 さてフェスティバルに戻るとYangの事件が。ビーコンアカデミーの生徒が起こした惨劇に観客の負の感情が高まってしまった。Yangすげぇ可哀そう(神の視点)。あんな事件起こしたしまぁYangが失格になるのはしゃーない。ビーコン生徒としては残ったPyrrhaさんに勝って欲しいが何処か憂鬱そうな彼女。一体何があったんでしょうねー(棒)

 そんな彼女を我らがJauneが元気付けようとする。流石だなお前ら結婚しろ。個人的にはPyrrhaがjauneの肩に頭乗っけるシーンとか激エモでしたね。

 ここから自分が凄い解釈に困ってるシーンがあって、JauneがPyrrhaの悩みを聞いて答えた内容にPyrrhaがショックを受けるシーンがあるじゃないですか。

 あれってやっぱりPyrrhaの
「自分が自分で無くなってしまうかもしれないが、自分の生涯を懸けた目標を一瞬で解決できるかもしれない方法が見つかったら…?」
 って言葉にJauneが
「Pyrrhaがその目標を達成したいなら(今のPyrrhaじゃなくなってもいいから)その方法をとるべきだ!」
 って答えた事に(今の自分じゃなくてもいいんだ…)って彼女が意味をとってしまってショックを受けたって事でいいんですかね?

正直Jauneはこの時点ではそういうあの世界では伝説とか御伽噺みたいな非現実的な話を真摯に捉える事は難しいとしてもその答えは悪手だろ…って思う。

 そんなこともあり精神がボロボロのまま、彼女はPennyと闘い、惨劇が生まれ、ビーコンに大量のグリムが…

 この辺りはRoman&Neopolitanのコンビが個人的には最高。一緒に息を合わせて戦う所とか最高ですね。あれ多分裏で付き合っててほしい。そうじゃなくてもNeoがRomanに迫っててほしい、頼むから。でもRoman…。

 陥落するビーコンアカデミー、Ozpin学長はCinderに敗れ最早RWBY達はなすすべもない。そんな中、JauneはPyrrhaに今は逃げようと諭すが、彼女は彼と最後の別れを告げ、毅然とCinderに立ち向かった。

 

 

 うん、マジで辛い……。あのさぁ、あのさぁ……。

 いや話の盛り上がり方とかはすげぇ良いよホント大好き。でもやっぱPyrrha死ぬことは無くねぇか?いやまあそれまでに色々(秋の乙女、Jauneの発言、Pennyの件)とかで精神的に追い詰められていたんだろうけどね……。

 いやVolume 3ホント重い。1,2と比べるとホント激重になってて笑う。

 既に4,5,6は履修済みだけど3は観てて辛いわホント。でも好き。

RWBY Volume3 前半

 いきなりVolume3前半の内容を書く(この記事はRWBY Volume1-3 Blue-ray setに依拠しています あとVolume6まで履修済)

 

 Volume1,2と比べて一番初めに感じたのはやはりモデリングの改善かな?血色良くなったよね、動きは滅茶苦茶良くなってた。やっぱ金入ったんやろなぁ…

 最初の戦闘シーンでRWBY達がとても仲良くなってたのはとても微笑ましかった…。特にWeissとRubyのやり取りはVolume1の頃を思い出すと仲良くなったね君たちって感じがする。陰キャだったRubyがチームリーダーとして成長するのもこの作品の醍醐味だと思う。

 戦いが終わったら飯!ってことで屋台のシーン。Blakeホントお前ツナ好きだな。Weissのトラブルで困ってる時に颯爽と登場したのがJaune率いるJNPRチーム。おいBlake、Pyrrhaにたかろうとするんじゃあないよ。てかホントArkos尊いな…早く結婚してくれ。次のJNPR戦でも連携攻撃の名前の件でPyrrhaが執拗に名前に拘っているの本当に可愛いなって思った。 とりあえずここまで。後日加筆します